隠退牧師の徒然記<543>

隠退牧師の徒然記(2016年3月1日~)<543>
2020年7月27日「本屋さんと花屋さんが立ち並び」


聖書の言葉
荒れ野よ、荒れ地よ、喜び踊れ。砂漠よ、喜び踊れ、花を咲かせよ。野ばらの花を一面に咲かせよ。(イザヤ書35章1節)


いつまでも雨が降り続いていると思うのであるが、間もなく梅雨明けとなるようである。また、暑い夏がやってくる。この暑い夏なのであるが、4月の体験を思い出させる日があった。スペイン・バルセロナの「サン・ジョルディーの日」が7月23日に予定されていた。バルセロナをご存知の方は、すぐに否定するであろう。「サン・ジョルディの日」は4月23日であるからだ。もちろん、バルセロナでは毎年4月の開催なのである。ところが今年は新型コロナウィルス感染予防のため、7月に延期されたのである。延期するほど、この日の開催は大切なのであった。「サン・ジョルディの日」はスペインの中でもカタルーニャ地方のお祭りなのである。それがカタルーニャ地方の中心であるバルセロナで開催されるのであった。この日は「本とバラの花の日」であり、バルセロナのメインストリートには本屋さんと花屋さんが立ち並ぶのであった。この日、男性は愛する女性に赤いバラと麦の穂を贈り、女性は男性に本を贈るのであるという。何でこのような日が生まれたのであろう。
この「サン・ジョルディの日」のいわれは、カタルーニャ守護聖人サン・ジョルディにまつわる伝説に由来している。その昔、カタルーニャ地方の村に1匹の龍が住んでいた。この龍の息には毒があり、遠くからでも人を殺すことができたという。恐怖におののいた村人たちは、くじ引で毎日1人ずついけにえを差し出すことを決めた。ある日、王家の姫がくじに当たってしまった。王は姫の命を救ってくれるよう頼んだが、村人たちは王の願いを聞き入れず、姫を龍のもとに送った。するとそのとき、白い馬にまたがり、黄金に光輝く剣をふりかざした若き騎士が現れた。この騎士こそが、サン・ジョルディである。彼は驚く姫に「姫を救い、悪龍を退治して、平和な村にするために来ました」と告げ、龍を剣で一突きにした。そのとき流れ出した血から、一輪の赤いバラの花が生まれたという。本を贈る習慣も、かつてはカタルーニャ語の本を贈り、ひそかにカタルーニャへの愛を確かめる特別な意味があったということである。
バルセロナには娘の羊子がピアノの演奏活動をしているので、2011年の4月5月に二ヶ月ほど滞在した。そのとき、このお祭りを体験したのであるが、本屋さんとバラの花を売る店が歩道に軒並み続いている。そのとき、記念として買ったのが「EL PRINCIPITO」(星の王子様)である。4×6×2cm位のミニである。それでも内容はすべて収められているそうだ。スペイン語であるが、読まないにしても飾り物としている。村上春樹著「IQ84」もスペイン語版で売られていた。世界の村上春樹なんだと、少しばかり驚かされた次第である。
結局、7月に延期されていたが、中止なり、今年は開催されなくなったのである。しかし、しばしあの賑やかな「本と花の祭典」を思い出させてくれて喜んでいる。そして、このコロナのためではあるが、本を読むことが奨励されているようで喜んでいる。

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サン・ジョルディーの日。花屋さんがバラの花を売る。
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こちらは本屋さん。一割安く買える。「星の王子様」のミニ本を買う。
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バルセロナのモンセラットに飾られている「サン・ジョルディー」。
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「星の王子様」のミニ本を買う。こんなに小さくても全部収められている。

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