隠退牧師の徒然記<557>

隠退牧師の徒然記(2016年3月1日~)<557>
2020年11月3日「天国にいる皆さんを示されながら」


聖書の言葉
わたしたちの本国は天にあります。そこから主イエス・キリストが救い主として来られるのを、わたしたちは待っています。(フィリピの信徒への手紙3章20節)


11月の第一日曜日は、キリスト教の世界では、亡くなった皆さんを覚える日としている。日本キリスト教団はこの日を「聖徒の日」(永眠者記念日)としている。前任の大塚平安教会では、この日を召天者記念礼拝としていた。礼拝堂に教会員として天に召された皆さんの写真を飾り、それらの皆さんの信仰の証しを示されながら礼拝をささげたのであった。1979年に就任し、迎えた召天者記念礼拝において、飾られた写真はそれほど多くはなかったと思う。2010年3月に同教会を退任したが、その前年11月の召天者記念礼拝では飾り切れないほどの皆さんの写真を掲げたのであった。多くの皆さんを天にお送りしているが、その皆さんを埋葬している墓地が厚木霊園にある。この墓地は1982年に完成している。大塚平安教会に赴任した時には、教会墓地は川崎の春秋苑の中にあった。教会から車で1時間以上もかかり、そのためか、教会墓地としての形が造られてはいなかった。そのため、墓地建設を目指し、厚木霊園内に完成したのである。赴任したばかりなのに、教会は設計から建設に至るまで任せてくれたので、示されるままに教会墓地を完成したのであった。キリスト教の墓地として、まことにふさわしい佇まいとなった。
11月の始めに天国にいる皆さんを示されるのは、日本のキリスト教ばかりではない。娘がスペインに滞在してるので、私たちも滞在したのであるが、こちらでも「聖人の日」が覚えられていた。2012年10月末にバルセロナのラスルーナスにある高級高齢者ホームで羊子のコンサートが開かれた。これは「聖人の日」としての記念コンサートなのであった。演奏後はお茶の会が開かれたが、この日には松の実のお菓子やサツマイモを食べることになっている。2014年の11月3日にはバルセロナのモジェルッサでコンサートが開催されたが、この時も召天された方を記念するコンサートであったのである。やはり文化が異なり、「聖人の日」にはコンサートを開き、昔ながらの食べ物をいただくのがスペインの皆さんである。それは日本でも変らない。11月の「聖徒の日」には、教会によっては取り組みが異なる。しかし、日本の3月のお彼岸には「ぼたもち」、9月のお彼岸には「おはぎ」と、それなりの食べ物をいただいている。どこの国も召天者を覚え、記念することは変らない。
 バルセロナ在住の羊子も聖人の日を覚えて、今年は3歳になった義也君と共にお菓子を作ったという。カタルーニャ地方の伝統的な名物菓子、パナリェッツである。この時期になるとお菓子屋さんやパン屋さんで売られる。各家庭は聖人の日を覚えながらいただくと言われる。松の実がついているお菓子は、一個2ユーロもするという。約300円である。
 日本では仏教に由来するが、お彼岸には春の「ぼたもち」、秋の「おはぎ」があるが、キリスト教でも11月の聖徒の日には、伝統的にお菓子を食べたいのであるが…。

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1982年に建設した教会墓地。
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バルセロナにて。聖人の日を覚えつつ、特別な食べ物をいただく。
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スペインでは、聖人の日には「松の実」が入っているお菓子を食べる。
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スペインの聖人の日には、サツマイモを食べることも。
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バルセロナ在住の羊子と孫の義也が聖人の日のお菓子を作っている。

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